2000年に社長になり早24年。
色々な事が有りましたが、特に2004年度(平成16年度)は本当に大変でした。
三菱ふそうトラックの「空飛ぶタイヤ事件」で販売は大打撃。7月には7.13水害、10月には中越大震災。明けて1月には豪雪があり、そして3月にはこれからお話しする「長岡西店窃盗事件」がありました。
2005年3月11日金曜日朝、弊社長岡西店(2019年9月閉鎖)から電話が入りました。
「社長、会社に泥棒が入りました!」
慌てて飛んで行くと机や棚が荒らされ、若干の金銭とノートパソコン1台が無くなっていました。
問題はそのパソコン。数千件の個人情報が入っていたのです。
空飛ぶタイヤ事件から三菱自動車は多数のリコールを出しており、そのリコール対象車のデーターがそのパソコンに入っていたのです。その事が少し気になり、その場でメーカの弊社担当に一報を入れました。
午後になり、担当者さんから連絡が。
「社内に対策本部が立ち上がりました。私もこれからそちらに向かいます。」
メーカは個人情報漏洩の重大案件と考えた様なのです。
それからパソコン内の個人情報の特定作業や対象者へのお詫び状の準備発送など、大騒ぎになりました。
よく日になり担当者さんが、
「記者発表しましょう。しないと隠蔽になってしまいます。市役所内に記者クラブが有るはずなのでそこに連絡してください。」
早速電話をしたところ、午後3時に記者クラブまでお出で下さいとの事。発表用の資料を準備し、3時前、雨降る中をメーカー担当者さんと向かいました。
記者クラブに着くと新聞やテレビの記者が多数待っていました。
早速名刺交換をし、資料を配り、事の顛末を説明し、これで終わりかと思った時、パーテーションの向こうにソファーが有り、その前にテレビカメラが数台並んでいる事に気が付きました。
そこに居た記者に「テレビカメラが並んでいますが何かあったのですか?」と聞くと、記者は
「準備してお待ちしておりました。どうぞおかけください。」
「えっ!!」「・・・」
実はこの年4月1日から個人情報保護法の施行が控えており、報道機関としてはおいしいネタだったようです。
(言ってくれればもう少し良いスーツとネクタイに着替えてきたのに)と心の中で思いましたが、後の祭り。一人そのソファーに座り、すぐに記者会見が始まりました。
何を話したかほとんど覚えていませんが、言い訳はせず、我が社の油断だったと唯々謝りました。
その会見は県内民放4局とNHKの夕方6時のロ地方ニュースで放映されましたが、その後は放映されませんでした。
とはいえテレビの見ていた知人からたくさんの電話をもらいました。妻は私がテレビに出たことをいとこからの電話で聞き、その時考えたことは(今日はどんなネクタイをしたかな)だったそうです。似たもの夫婦です。
私達はお客様からの抗議の電話が殺到するかとヒヤヒヤしておりましたが、幸い問い合わせもほとんど無く、この事件はこれ以上大きくなりませんでした。
1年後、その記者会見にいた、あるテレビ局の記者さんと再会しました。その際記者さんは「言い訳せず、ひとえに陳謝する姿は好感が持てた」と感想を下さいました。
ちょっとでも言い訳をしていたならもっと大変な事になったのかもしれません。